対人賠償は自分のケガにも使える?相手のケガと自分のケガは財布が違う
結論からいうと、対人賠償は「相手にケガをさせてしまったときの賠償」に使う補償です。
自分や家族のケガについては、基本的には人身傷害など、自分側の補償を確認します。
対人賠償は「相手へのごめんなさいの財布」。
人身傷害は「自分たちのための救急箱」。
どちらもケガに関係しますが、向いている方向が違います。
私は保険猫シドニー。
事故担当者の心のオフィスに住む猫。
今日も、人間の電話を聞いている。
「上乗せ保険で、対人賠償は無制限に入ってるんですよね。
だったら、ケガは全部大丈夫なんでしょ?」
電話口の声は、少し安心したようでもあり、少し不安そうでもあった。
私は、画面を見ながら確認する。
「今回の事故は、お客様側の責任割合が大きい見込みです。
そのため、お相手側からお客様のおケガについて賠償を受けるのは、難しい可能性があります」
「なんでですか?対人って、ケガの補償って聞いたんですけど。
こっちもケガしてるんですよ?」
保険猫は、デスクの端で横たわったまま、まっすぐこちらを見た。
そして、目を細める。
「ケガはケガでも、
相手への“ごめんね”のケガと、
自分のための救急箱は、別の話だにゃ」
対人賠償は「相手へのごめんなさい」の財布
対人賠償。
文字だけ見ると、「人のケガに関する補償」のように見えます。
それは間違いではありません。
ただし、大事なのは、誰のケガのための補償なのかということです。
対人賠償は、ざっくり言うと、
事故で相手にケガをさせてしまったとき、相手に対して賠償するための保険です。
たとえば、自分の車が相手の車にぶつかり、相手がケガをした。
そのとき、相手の治療費や慰謝料、休業損害などについて、法律上の賠償責任が発生することがあります。
その「相手に対する賠償」に使うのが、対人賠償です。
猫語でいうなら、相手への「ごめんなさい」の財布です。
自分や家族のケガは、人身傷害を確認する
では、自分がケガをした場合はどうでしょう。
ここで出てくるのが、人身傷害です。
人身傷害は、自分や同乗者など、自分側のケガに備えるための補償です。
事故で自分がケガをした。同乗していた家族がケガをした。
そういうときに確認するのが、人身傷害です。
対人賠償が「相手へのごめんなさいの財布」なら、
人身傷害は「自分たちのための救急箱」。
どちらもケガに関係します。
でも、向いている方向が違うのです。
人身傷害の基本的な仕組みについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 人身傷害保険とは?交通事故で自分や家族のケガを補償する仕組みをやさしく解説
相手の保険会社が必ず対応してくれるとは限らない
ここで、もうひとつややこしい話があります。
事故でこちらもケガをしている。
それなのに、相手の保険会社がこちらのケガについて対応しないことがあります。
「相手にも保険があるんですよね?こっちはケガしてるんですよ?」
そう言いたくなるのは、当然です。
ただ、相手の保険会社が見るのは、こちらがケガをしているかどうかだけではありません。
大事なのは、相手に、こちらのケガを賠償する責任がどれくらいあるのかです。
こちら側の責任割合が大きい事故では、相手側から見ると「自分のお客さまが負うべき賠償責任」は小さい、またはほとんどない、という判断になることがあります。
その場合、こちらがケガをしていても、相手保険会社が対人対応をしないことがあるのです。
相手の対人賠償は、相手がこちらに対して負う賠償責任を支払うためのもの。
そこには「責任割合」の話が関わってきます。
「無制限」でも、何でも無制限ではない
対人賠償を無制限で契約している方は多いと思います。
人のケガに関する賠償は大きな金額になることがあるので、それ自体はとても大事です。
ただし、注意したいのは、「無制限」は何でも無制限に出るという意味ではないということです。
対人賠償無制限とは、
自分が相手に対して法律上の賠償責任を負う場合に、その対人賠償について限度額を無制限にする、という意味です。
自分のケガまで全部無制限に見てもらえる、という意味ではありません。
事故のあとに、自分や家族がケガをしたとき。
痛みがあるなら無理をせず、病院へ。
そのうえで、自分の保険会社にこう聞いてみてください。
「私の契約に、人身傷害はついていますか?
今回の事故で使える可能性はありますか?」
なお、人身傷害を使った場合に等級が下がるのか気になる方は、こちらの記事で詳しく書いています。
→ 交通事故の治療費を保険で払うと等級は下がる?人身傷害とノーカウント事故の話
🐱オフィス猫メモ:
対人賠償は、相手の財布。
人身傷害は、自分の救急箱。
名前は似てても、向いてる方向が違うにゃ。
